潤滑油は、機械の接触部分の摩擦を低減し、動きを円滑にして磨耗を減らすために利用される油です。
潤滑油が機械の摩擦に対して果たす役割は大きく2種類があり、それぞれ異なる効果を引き起こします。
今回はその役割と効果を詳しく見ていきましょう。
潤滑油の役割は「流体潤滑」と「境界潤滑」に分けられる
まず、潤滑油が機械の接触面に対して起こす潤滑には、「流体潤滑」と「境界潤滑」の大きく分けて2種類があります。
1つ目の流体潤滑とは、機械の金属同士の接触面に十分に分厚い潤滑膜(油膜)が存在している状態で生じている潤滑のことを言います。
金属部分が互いに直で接触していないため、摩擦による金属面の磨耗が少なく、最も理想とされる潤滑が流体潤滑です。
2つ目の境界潤滑は、流体潤滑とほぼ逆の状態です。
すなわち、金属同士の接触面に十分な厚さの潤滑膜が存在せず、ダイレクトで金属同士が(部分的に)接触している状態の潤滑のことを指します。
あくまでも「部分的に」であり、潤滑そのものは生じていて摩擦もある程度は低減できているのが境界潤滑の特徴です。
ただし、流体潤滑のような理想的な潤滑とは言えないので、一般的に境界潤滑が生じている場合は何らかの対策をする必要があります。
流体潤滑が起こす「くさび効果」とは?
流体潤滑が起こす効果に「くさび効果」と呼ばれるものがあります。
潤滑油を用いる際、機械の軸(すべり軸受など)が回転すると、その回転によって潤滑油が隙間へと侵入します。
これにより圧力が発生し、その圧力が軸を浮かせることによって摩擦を大幅に減らします。
この時の潤滑油の進入場所が楔(くさび)のような形状をしているので、このことを「くさび効果」と一般的に呼んでいます。
境界潤滑が起こす「個体接触」とは?
一方、境界潤滑が起こす効果は「個体接触」です。
個体接触とは、金属同士が直接接することを指します。
機械の軸の動きは常に一定ではなく、
・軸が受ける荷重が大きい
・回転速度が速い
といった状態になることもしばしばあります。
このいった状態のとき、潤滑油が作りだす油膜が切れてしまうことがあり、その結果、個体接触が生じて摩擦が大きくなります。
これが、言わば境界潤滑の正体です。
個体接触が起こると、金属が接触面を傷つけてしまう「かじり」や、摩擦熱が過剰に生じ、お互いが溶着してしまう「焼き付き」を起こすことがあります。
これらは動作不良や詰まり、腐食の原因にもなるので、個体接触が生じている場合は速やかな対応が必要です。
摩擦の大きさは、流体潤滑が生じているか、それとも境界潤滑が生じているかで大きく異なります。
まとめると、流体潤滑は摩擦が小さく理想的な潤滑で、境界潤滑は反対に摩擦が大きく理想的でない潤滑です。
こうした潤滑油の役割とそれにより生じる効果をしっかり理解したうえで、日々の保守管理を心がけるようにしましょう。
「オイルスター」では、様々な潤滑オイルを取り揃えておりますので、
是非ご覧ください。
https://oil-star.jp/SHOP/160000/list.html